2025/10/31 17:24

時代とともに変わる仏花のかたち
かつて、仏花といえば生花が当たり前で、造花を飾るなんて「ご先祖様に申し訳ない」「邪道だ」と言われることもありました。
けれども近年、コロナ禍や物価高を経て、仏花のあり方にも少しずつ変化が生まれています。
お花を長持ちさせるのが難しい夏場や、お手入れの時間がなかなか取れない方の間で、造花やプリザーブドフラワーを選ぶ方がぐんと増えてきました。
とはいえ、「プリザーブドフラワーってどう扱えばいいの?」「本当にお仏壇に飾っていいの?」と疑問に思う方も少なくありません。
今回は、そんなプリザーブドフラワー仏花のメリットとデメリットについて、少し掘り下げてご紹介します。
■ プリザーブドフラワー仏花のメリット
まず一番の魅力は、お手入れがほとんど不要なこと。
水を替える必要もなく、枯れる心配もないため、いつでも美しい姿でお仏壇を彩ってくれます。
また、湿度や温度に気をつければ、半年から数年ほどきれいな状態を保てるのも嬉しいポイント。
お盆やお彼岸のたびに新しい花を用意する手間も省けます。
さらに、花粉が出ないためアレルギーのある方にも安心。香りがほとんどないので、仏間の空間を清らかに保てます。
そして、生花ではなかなか手に入らない色合いやデザインを選べるのも、プリザーブドフラワーならではの魅力です。
■ プリザーブドフラワー仏花のデメリット
一方で、直射日光や湿気に弱いという面もあります。
日差しの強い場所や湿度の高い環境では、色あせやカビの原因になることも。置き場所には少し注意が必要です。
また、見た目は美しくても、生花のような香りやみずみずしさはありません。
その「命の息づかい」を大切にしたい方には、少し物足りなく感じるかもしれません。
そして、枯れないがゆえに「いつ新しいものに替えればいいの?」と迷うことも。
一般的には、色が薄くなったり、花びらが固くなってきたタイミングが交換の目安です。
■ まとめ 〜心を込めて選ぶということ〜
プリザーブドフラワー仏花は、手間をかけずに美しさを長く保てる便利なお供え花です。
忙しい現代の暮らしに寄り添いながら、ご先祖様を大切に想う気持ちを形にできる新しい選択肢といえるでしょう。
一方で、生花の持つ生命感や香りにはない静かな美しさがあります。
大切なのは、「ご先祖様を想う心」をどう表現するか。
お手入れのしやすさや環境に合わせて、自分らしい仏花のかたちを選んでみてはいかがでしょうか。
